見えてきた自作QPU
本投稿は「量子コンピュータ Advent Calendar 2023」の16日目の記事となります。
はじめに
去年の「OpenMPWで作るQPUの可能性」を覚えておりますでしょうか?QPUの自作の可能性を考えた記事です。今回は、その続きとなります。
前工程を制する
QPUを作るうえで一番重要なのが、半導体の前工程と言われる「半導体を実際に製造する」部分となります。なぜかといえば、酸化膜の厚みの調整やP形班東大やN型半導体の形成時の拡散層の厚みやポリシリコンの厚みや形などが重要となってくるからです。
そこで、半導体の前工程をマスターしてきました!!!
何をしてきたのか?
こちらのファブでは、全55工程あるのですが、その中からQPUの設計・製造に重要そうな部分を抜粋すると
膜の成型
まずは、一番重要な酸化膜を形成します。電気炉の中に必要な酸化剤を充填して焼き付ける工程となります。ここでの焼き付ける時間などを調整することで、酸化膜の厚さを自在に調整することが可能です。
これで、一歩自作QPUへの道が開けました!
マスク
続いて、不要な酸化膜を除去して、必要な部分のみに酸化膜を残す工程です。マスクを用いて、フォトレジストを塗り、露光して、現像します。要は、銀塩写真と同じ工程です。
フォトレジストを塗る
私が自らの手で、フォトレジストを塗り付ける!まぁ、薬品を垂らすだけで、あとは機械が自動でやってくれるんですが・・・(正確には、このフォトレジストの厚さをちょうどよくするために、どのくらいの量にすべきか?など考慮することはあります。)
露光機へ
続いて、露光します。一台5億円くらいするらしいです。誰か、おごって!
現像する
現像液につけて、しゃばしゃばするだけですが・・・
出来上がり
これで「1工程分」の膜成型~フォトレジスト~露光~現像が終わりました。あとは、これを半導体の層の分だけやるだけです・・・全55工程あります・・・
まとめ
ちなみに、これを全工程回すと、手慣れた人で2週間、初めてだと2~3か月ほどかかるらしいです。
ということで、QPUが自作できることは見えてきたけど、実際にやるのは大変だというを身をもって、体験してきました。
もし、この挑戦をしたい方、ぜひ、ご一緒に!!!