マイクロ波制御処理の実用化に向けて
2020年度の未踏ターゲット事業に採択されましたので、わたし(今村謙之 いまむらのりつな)の担当部である
- 課題2)マイクロ波制御処理の実用化に向けての課題
任意パルス波形生成におけるパラメータチューニングのテンプレート化と高負荷処理への対応
について、詳細を説明したいと思います。
まず、開発内容ですが、こちらの概要は採択内容のほうに書かれております。ただし、去年からの続きでありますので、去年の成果であるGNURadio向け量子ファームウェアの「GR-Quantum」をベースにどのような追加開発を行うか?ということになります。
- 開発2)パルス波発生処理の追加実装
・ターゲット利用者:無線家でマイクロ波を制御できる人で、量子の実機への応用を模索している人
・実現する機能:
2量子ビットの内部シミュレータ
OpenPulseからのパルス波パラメータの設定ツール
外部連携用パルス波データの出力
大きく分けて「3つ」あります。
- 2量子ビットの内部シミュレータ
- こちらは、本来なら1年目にあるべき機能でしたが、そもそものボリュームが膨大だったため、1年目の開発ではやらずに、今年に回したものとなります。そのため、1年目の続きとなります。(実際には、1年目にそれなりに実装はしてあり、もう少し作りこまないといけない部分があるという状態です。)
- OpenPulseからのパルス波パラメータの設定ツール
- 外部連携用パルス波データの出力
- こちらは、新規開発の機能となります。
- こちらは何のことか非常にわかりにくいのですが、「任意時間のQPUの状態を連続的に出力する機能」となります。そのため、QPUを完全にシミュレーションする必要があり、そのための機能を実装することになります。
- このあたりは、量子情報工学的には全く扱うことがないところのため、ほとんど参考文献がないところであり、この部分と量子情報工学を結び付けるというテーマは、非常にチャレンジングなテーマとなっております(古典コンピュータで言えば、CPUの中のトランジスタの動作の物理現象をシミュレーションするような機能となる。)
- ちなみに、「課題4)教育的視点での課題」により、利用されることになります。
そして、さすがに間に合わない可能性が高そうだったため、書かれてはいないのですが、本来は「FPGAによるパルス生成用のSDRボード」の開発も考えております。チップ類の選定は済んでおり、あとはPCB-CADで設計して、試作まで行ければと考えております。
というところで、みなさま、今年もよろしくお願いします。